ホームページ素材は「幻想素材サイト First Moon」さまからお借りしました
キャラクター紹介
用語
ドラマ
リンク
★トップページはこちら

小説登場キャラクター紹介
小説最初のページ
小説2
小説3
小説4



光はだんだん小さくなっていった。
消えると残ったのはあかりとスリーピングビューティー。
あかりは言う。
「…良かった。分かってくれるって信じてたよ、スリーピングビューティーさん」
『ワカッテイルワケデハ…ナイ。タダ2ツノココロガオナジイケンニナッタニスギナイ』
「あかりちゃん!」
不安そうな声で真守が声をかける。
「まーくん、大丈夫。今から……スリーピングビューティーさんを送るから」
あかりは微笑むとスリーピングビューティーの肩に手を当てた。
当てたところから黒いオーラが現れる。
すっとそれが抜けると姿がガーベラに戻った。
ガーベラは前のめりに倒れそうになったが直前にダークをやってきてガーベラを抱き留める。
黒いオーラはそれを見届けてからこう言った。


『ワレガイナクナッテモヒトガイルカギリ、ダイ2ダイ3ノワレガアラワルゾ。
ワカッテイルノカ?』
真守は優しく答える。
「僕は信じてる。闇と光は一心同体だから。
きっとあなたがまた現れても次の人が2つの世界を守るって」
『シンジル…ソウカ。ソウダナ、オマエラハ……シンジテイル』
そういうと黒いオーラは消えた。


「…ん」
ガーベラが目を開け、辺りを見回す。
目の前にいるはずのないダークがいて、驚きの声を上げた。
「ダーク!」
「ご無事で良かった、ガーベラ様」
「ガーベラ様!」
かけてくる2つの足音。
声の方を見ると、ダークと同じようにいないはずの二人の姿だった。
「ネイビー、レーラ……」
「再びお会いできて良かった」
ネイビーが声をかける。
表情は変わらないが心なしか涙声に聞こえた。
「ご無事で何よりですわ!」
嬉しそうにレーラが話しかけてくる。
「これは……一体?」
一年前に消えた三人に出会えた。
この夢のような光景にガーベラは何とも言えない気持ちになっていた。
「奇跡が起きたのですわ!……まあ奇跡を起こしたのか意図的なのかは謎ですけど」
レーラが後を向く。
そこには一年前に会った真守と見た事がない少女の姿があった。
「あなたが三人を?」
「みたいです…」
「みたい?」
「その…あかりちゃん、この世界で使える力をさっきちゃんと使えるようになったところで……」
真守が代わりに答える。
「さっき?」
「僕らが来てから今回は時間がそんなにたってないんです」
「そう。時間がなかったものね…。 ありがとう。あかり…で良かったかしら」
「はい、あかりです。ガーベラさん」
「あなたから彼女の力と同じものを感じる」
「彼女?」
「この世界を支える『姫』、私の親友のジュンナことのよ。あなたは…彼女の対なのね」


「ガーベラ!」
ガーベラがあかりにそう言った時、ガーベラを呼ぶ声が聞こえた。
ガーベラは声のほうを見る。
そこには『姫』のジュンナと守護騎士(ガーディアン)の3人(ブレイブ、アクア、エフォート)がいた。
「ジュンナ!なぜここへ…」
「姫が突然ここに向かうと言い出したの。…ひょっとした対の彼女の力を感じたからもしれない」
金の守護騎士(ガーディアン)であるエフォートが代わりに答えた。
「無事でよかった」 
嬉しそうに言うジュンナ。
その笑顔に自分の側にいるあかりの顔が重なった。
まさに二人は対の存在であるということが分かる。
……2つの世界の2つの太陽。
ガーベラはそう思った。
「ここにいるみんなのお陰よ。この世界の…そしてもう一つの世界の危機は去ったわ」
「良かった。本当に貴方が無事で良かったわ、ガーベラ。
大切な親友を失いたくないもの」
「ジュンナ…」
ジュンナはダーク達3騎士を見た。
「奇跡が起きたのね。あなたはこれから一人じゃない。
もちろん私やみんながいるから精神的には一人ではないと思っていたけど、ここにいる時は一人だから心配だった。
でもこれで安心出来る。
3騎士の皆さん、ガーベラをよろしくお願いします」
ジュンナが3騎士に頭を下げる。
ネイビーとダークはうなづいた。
そしてレーラが
「そんなの当たり前ですわ!わたくし達は3騎士。
ガーベラ様をお守りするために存在するんですもの!!」
と自慢げに答える。
 横でダークとネイビーは苦笑いを浮かべていた。


「そろそろ時間ね」
エフォートが真守に声をかけた。
「えー!」
先ほどまで黙っていたブレイブが声を上げた。
続けてアクアも声を上げる。
「真守達は来たばかりじゃない!その姫の対の子ともまだ一言もかわしてないし!!」
「そう言うわけには行かないわ。時間の流れが違うし、真守達は真守達の世界で生きているのが普通なの。
その流れを無理やり曲げてきてもらっているのよ。
自然の流れに戻す。当然のこと」
「ありがとう」
あかりが言った。
「仲良くしてくれたいって言う思い、凄く嬉しい。
でも帰らなきゃいけないんなら仕方ないわ。
本当はこの世界を色々と見て見たかったけど……きっとチャンスはある」
「本当に良いのかよ。見てみたいんだろ?」
とブレイブ。 
「そうよ。チャンスがあるかは分からないわよ?」
とアクア。
あかりはニッコリと笑う。
「チャンスはある。ないなんて言っちゃダメだよ!信じるの。信じればきっと叶う!
次会う時は色々と案内してね!!」
あかりはブレイブとアクアに手を差し出した。
ブレイブとアクアはお互いを見る。
「………」 
少しの間の後、二人はあかりの手を取った。
「任せろ!」
「了解!!」
「うん」 
 あかりは微笑む。
 

「エフォートさん、よろしくお願いします」
 三人の様子を見ていた真守がエフォートに言った。
「納得がいったみたいね」
 そして続けて「素敵な幼なじみね」と。
「はい。凄く素敵な幼なじみです。たまに突っ走っちゃうところがあるけど…」
「ふふ、それも素敵よ。…ではいくわね。
 ……遠き土地よ、彼らを呼び戻せ。
 土地の思いよ、遥か遠い二つの世界を繋ぎ、彼らをあるべき場所へ!」
 エフォートの言葉により、真守とあかりの周りに光が集まっていった。
 そしてその光が二人を包むと、二人は空に上っていく。

「真守、姫の対の子、またな!」
 ブレイブは大きく手を振った。
「約束よ!絶対案内するから来なさいよ!!」
 アクアもまた大きく手を振り、叫ぶ。
「お二人には本当にお世話になりました。気を付けて!!」
 クレハが微笑みながら言った。
「元気でな。今回は短かったけど、俺は絶対忘れないから!!」
 ウッドも手を振り、言う。
「ありがとう。私だけでなく、きっとあの闇の者も救われたはず。本当にありがとう」
 ガーベラは微笑みながら言った。
「このお礼はしなくてはなりませんから絶対に戻ってくるのですわ!」
 レーラが叫ぶ。
 その横でダークとネイビーは苦笑いを浮かべながら見ていた。
「お二人にさらに幸せが訪れますように…」
 そう言ったジュンナは二人に向かって手を伸ばす。
 ジュンナの伸ばした手に淡い光が現れ、その光は真守とあかりの側までいって消えた。
「お守りのようなモノです。お気をつけて」
 ジュンナは微笑み、そう言う。
「ありがとうございました」
 真守とあかりは頭を下げた。
 そして…「また会いましょう」。
 ある程度の高さに来た二人は光に包まれたまま、消えた。
 

 空にいる真守とあかりを見ていた一同は視線を元に戻す。
「新しい世界の始まりだ」
 ぽつりとウッドが言った。
 皆の視線がウッドに集まる。
「闇は消えた。とりあえずな。
 そして……消えたものが戻ってきた」
 ウッドは3騎士を見ていた。
「新しい世界になったんだ。昨日とは違う新しい世界だ」
「新しい世界」
 呟くネイビー。
 少し嬉しそうな顔をしていた。
「そう。新しい世界。俺に…弟が出来た世界だから」
 ウッドがネイビーを優しく見る。
「よろしくな、ネイビー」
 ネイビーは嬉しそうに微笑んだ。
 それを見たレーラは驚いた顔をしたがすぐにくすりと笑う。
「なーんだ。そんな顔も出来るんじゃないですの」
「ネイビーも変わったんだ。俺らもきっと」
 ダークは言った。
「そうですわね」

 今、新しい世界は始まったばかり_________



----------------------------------------------------------
 私達の世界。
 あの事件の次の日。

 あの後、ほぼ同時刻に戻った二人はそのまま帰宅した。
 もちろん帰りは興奮冷め上がらないあかりのおしゃべりが続き、
またお隣という理由で真守は家に押しかけられ、話を続けられた。
 この日もそう。
 まだあかりの熱は冷めず、本日の帰りも続いていた。

「…本当によかったの?」
 二日間連続のおしゃべりにさすがに疲れを隠しきれない真守は頭を押さえつつ、言う。
「何もしないで帰ってきたこと?
 確かに心残りはあるわ。
でも我が儘は言えないし、あの世界の空気を吸えただけでも価値があるわ!
 悔しい部分はまーくんにしゃべって解消してるのよ!!」
「僕のことも考えてくれると助かるんだけど…」
「あ!ゴメンゴメン。つい」


 その時……二人に目の前の空間に穴が開いた。
「え、これって!?」
 あかりが叫ぶ。
「!」
 吸い込まれる!
 二人は身構えた時、声が聞こえた。

「久しぶりだな」
 二人は声の方を見る。
 声の主は木の守護騎士(ガーディアン)・ウッドだった。
 後にはネイビーもいる。
「ウッドさん、ネイビー!」
 真守が驚きの声を上げる。
「迎えに来た。今までの礼をしたいと姫が言われてな。
 エフォートもどうやったら自然の流れを曲げないですむか考えてくれてやっと迎えに来ることが出来たんだ。
 俺達の世界で一日ほどしか滞在出来ないが…来るかい?」
あかりはうれしそうな顔で答えた。
「もちろんです!行きたくてたまらなかったの!まーくんも行くよね?」
突然のことで顔が固まっていた真守はあかりの嬉しそうな顔に思わず、顔がほころぶ。
そして答えはもちろん…。
「うん!」

 二人はウッド達のところ駆けだした。



終わり